素描

あわのような思いを記録していくところ

人生とはどんなもの

相模原市障害者施設殺傷事件

 

酷い事件が起こってしまった。

犯人がどんな闇を抱えていたのか、誰のせいだと思っているのか、何のせいだと思っているのか、

もしくは正義だと思っているのか。それは誰にもわからないけれど、

ニュースを見て最初に思い出したのは、介護職をしている知人が言ってた

「他人だからお世話できるけど、実の親だったらつらすぎて無理」ってことば。

 

血がつながっているからこそ耐えられるものじゃないのかな?って思ってたけど

そこに強い情が芽生えていたり、好きであればあるほど苦しいということがあるみたいだ。

その言葉はなかなかの衝撃を伴ってわたしの頭をぶん殴った。

 

愛してるからこそ背負えないなんて

そんな感情が存在することすらそれまで想像もしていなかったから。

人生とは何と苦いものなんだろう。

人間とは何と複雑なものなんだろう。

 

でもきっと将来誰もが大なり小なりそんな気持ちと向き合わなきゃいけないんだろうな。

わたしにもいつかそんな時がくるのかな。

心構えなんてまだ全然できていないのだけど。

むしろ、まだ考えたくない。じゃダメかな?

 

 

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リア充ちゃんからのおみやげ。

はじけまくったようでなにより。

 

  

 

 

【読書記録】「ボラード病」/吉村萬壱/文藝春秋

初・吉村萬壱
 
ボラード= 繋留したり 、 進入を阻止したりする目的で設置される杭。
 
 
物語がどう展開するのか全然読めなくて、
でもただ悲しい気配だけは感じていて、なんというか灰色の海を見ているような小説でした。
そして最後の一行に戦慄。すげえ作品だこれ。
これが全くの創作と思えないところがまた恐怖。
 
もしかして日本のどこかに?
日本の行く末に?
こんな感じの景色があるのかもしれない。
学校や会社や家庭や地域やいつも通る道、見慣れた町の中にも。
 
憂鬱で灰色で、張り付いた笑顔の下のどす黒い秘密。
愛と絆という綺麗な言葉でコーティングされた不穏な空気。
ありのままを見えなくする美しく輝かしい言葉たち。
  
   
とても怖い、でも一気読みしてしまう小説でした。
本当のことはどこに?
真実は誰の目に写ってた?
 
えぐられた・・・
 
 

 

ボラード病

ボラード病

 

 

わたしを離して。

一人暮らしをはじめてたった一週間なのに、先の週末にはもう両親による家庭訪問があり、
金ないやろ、ろくなもの食べてないやろ、と言われながら実家に強制送還されていた。

ほんっとに心配性だし、部屋の中の配置やごみチェックに至るまで、母親がああしたら、こうしたらとひどく干渉してくる。
LINEや電話でいつ実家に帰ってくるのか困ってることは無いかとしきりに聞いてくる。

わたしのことを愛してくれているのは分かるんだ。
いままで何もしなかった甘ったれの人間だから一人暮らしが心配なのも分かる。

でもわたしもう三十路だよー!!
どうして放っておいてくれないのー!!!

  

なんだか。母親の愛が重すぎて窒息しそう。

よその家もこんななのかな・・・。
正直、一人暮らしの部屋にいる時が一番ほっとする。
実家にいると息が詰まる。
ちょっと気まずい、とまで思ってしまった。
口に出さないだけで、父の愛もなかなか重い。母と同類だと思う。

   

前に名古屋で一人暮らしをしていたときも、休みには朝から必ず電話がかかってきていたし
いつ実家に帰るのかとうるさかった。
実家に帰ったら帰ったで、なるべく私の滞在を延ばそうとする。
少しでも実家に留め置こうとする。

あのころから何も変わっていないというか、同じことの繰り返しというか。

 

一人暮らしだけではない。
私は旅行が好きなのだけど、一人旅、特に海外など許してもらえない。
だから友達と一緒だよって嘘をついて旅に出なきゃいけない。
旅行するたびに誰と行くのか(名前言っても分からんやろがー)、友達はどんな人なのか、同じ会社の人なのか違うのかなど
根掘り葉掘り聞いてくる。
一人で遠出するというと、可哀相、お母さんついていこうか?などと言ってくる。
(文章にするとまじ病的・・・)

   

一人の何が悪いのか。
一人のどこが可哀相なのかと思う。
でも母親の目には、冴えなくて友達も少なくて(事実だけど)哀れな娘だからせめて自分たちが愛してやらねばという風に映っているんだろうな。

わたしも未だに親に頼っている部分は大いにあるけれど、
親が束縛してくるかぎり、わたしはずっと冴えなくて可哀相で哀れな娘のままで一生を終えてしまう気がする。

     

母親の口癖は「そんなの駄目」「あんたは駄目」「そんなの絶対よくない」。とりあえず否定から入る。
愛をたくさん注いでくれる反面、自分の意にそぐわないものには徹底的に否定するし、自分の意見を絶対の正とする。
それは父親も同じ。いつもは愉快な父親だけど、弱い者の気持ちを分かろうとしないし、自分の意見に頑として固執する。
否定されると逆ギレして怒鳴りまくることもある。
溺愛したり哀れんだり頭ごなしに否定したり、もうわけが分からない。

でも、怒られるのはまだよかった。
親に哀れまれてきたのが一番つらい。
単純明快に愛してほしい人生だった。
丸ごと受け入れて認めてほしい人生だった。

両親が好きだから、子離れしてほしい。
両親の愛は分かっているから、もう十分だから少し放っておいてほしい。

あんたのことを一番に考えてるなんて言わないでほしい。

 

今週末もきっと「給料前だから金ないやろ。帰って来い」って連絡が来るに違いない。
お盆休みもきっと「家族揃わなきゃ」と言ってくるに違いない。
そして家族でドライブとか買い物とか行くんだろう。
両親と私と弟。いい大人の家族がいつまでもべったり。
でも、はっきりと断れない自分もいる。
親が心配だし、親の寂しそうな声は聴きたくないし、両親と弟が好きだし、まだまだ思い出もつくりたい。
でも、私は本当には家族に心を開けていない。
困ったときは家族に頼りたいけど、悩みの相談なんてできない。
本音で語ったことも、もう何年もないかもしれない。

     

この状況が苦しくてたまらない。これって共依存というやつなのか。
毒親関係の書籍を読んでみても、うちのそれとは何か違うと思ってしまう。
毒親とまでは思いたくないというか・・・

はぁ。苦しいよ。
誰かにわかってほしい、この気持ち。
 

わたしはわたしの人生をきちんと生きたいと思った。
精神的にも家族から自立したいと。

これからは自分のことだけを考えて生きていきたい。

 

【読書記録】「くも漫。」/中川学/リイド社

【新年早々】【すすきのの】【風俗店で】くも膜下出血に倒れた作者の体験記、というか生還の記録。
  
ものすごく深刻な状況であるにもかかわらず、
体もしんどいのに、親や親戚に倒れた場所を悟られまいと必死になる作者の様子に思わず笑ってしまう。
差し迫った状況を伝える作者の弟の手記と、本人のいろんな意味での必死さの対比も面白い。
  
と同時に、くも膜下出血が起きたとき、そしてその治療の最中、脳内では何が見え、患者は何を感じているのかを
とてもリアルに知ることが出来た。
これは貴重な記録。
 
自身を取り巻く環境をふくめ、ここまで赤裸々に「自分」をさらけ出せる人がどれほどいるかな。
ただの闘病記ではない、なんだってネタにしてやる。俺を見ろ!的な気迫を感じました(絵はゆるいけど)
 
強いな。
 

 

くも漫。 (torch comics)

くも漫。 (torch comics)

 

 

【読書記録】「煙か土か食い物」/舞城王太郎/講談社文庫

再読ですが忘れていた部分も多くて、改めてこのドライブ感に酔った…。
 
あちこちとっ散らかりながらきっちりと収束する構成は素晴らしいし、
普通ならこれ死なせないでしょって人物があっさり退場したりする。
 
ひたすらに乱暴で暴力的で理知的な小説だなぁと。
本格推理ものでありバイオレンスでありアクションものであり家族ドラマであり
奈津川家の血すごい。カラマーゾフの兄弟リア王みたい)
それでいてラストは甘い恋愛小説のようだし、これをなんと定義したらよいのかな。
カオスかな(?)
出だしから最後まで、ともかくこのスピードに振り落とされないように必死でハンドルにしがみついてた。
なのに頭スコーンとぶん殴られた気分です。
読むの2度目なのに。
  
   
またしばらく経って読み返してもやっぱり衝撃を受けるのだろうけど、
この小説をまだ読んでいない人がうらやましいです。
    
世の中にはもっともっとたくさんのすごい本があるんだろーなー!
 
 

 

煙か土か食い物 (講談社文庫)

煙か土か食い物 (講談社文庫)

 

 

【乳がん検診】細胞診クラス3からの針生検、そして決着。

12日の乳がん検診の結果を聞きに行った。

いつも結果は一週間から10日前後に出るから、え、こんなに早く出るの?!と思いつつも会社を早退して病院へ。

ずっとエコー→マンモ→細胞診でグレーゾーンと言われ続けていたのだけれど、今回はついに針生検まで行ったのだから、何らかの決着をみるはず。

昨夜は快眠だったし、割と平常心だな?と感じていたけれど(ひとえに主治医の先生の明るさとおおらかさのおかげでもある)、さすがに待合室では文庫本を開いても目が滑って一行も読めないほど動揺してた。

 

告げられた結果は、線維腺腫。

とりあえず悪性ではないことが今回はっきりした。

今後は定期検診で経過観察でいいからね、とのこと。とはいえ人間の体は何が起こるかわからないから、これからも検査しに来てくれるね?と言われた。

主治医の先生に「不安にさせて泣かせて悪かったね。これからはおっぱいのことで悩む必要ないからね」と優しく言ってもらい、わたしは診察で泣いたことなどはなかったのだけれど、初めて涙が出そうだった。

心を開くことが苦手な私は、検査のたびに平静を装っていたけれど、本当は不安でたまらなかった。

怖かった。

死という言葉を意識するようになったと同時に、死ねって冗談でも口にできなくなった。

検査のたびにきっと私の顔はこわばっていたのだろう。

心底怯えていたのだろう。

それが先生には見透かされていたのかなと思うと、情けないけど救われた気持ちになった。

 

毎回検査を受けるたびに、乳がんに罹患された方のブログを読み漁ったり、ガンを告知された時の体験談を探したり、会社になんて言おうかとか考えたり

もっと全力で生きたい人生だったって思ったり

親孝行したい人生だったって後悔したり

神社で神頼みしてみたり。

でも検査結果で一応グレーになるたびに首の皮一枚つながった気分になって、

これからはちゃんと生きようって決意するのだけれど

そんな気持ちさえも喉元すぎればすぐに忘れてしまう。

人一倍弱虫でネガティブな自分なのに、人一倍大切なことを忘れてしまう。

本当にダメ人間だなって、改めて反省した次第。

 

 

今回、しこり問題に一応の決着はついたけれども、

とはいえガン家系だししこりは健在だし、リスクが高いことには変わりない。

自分を大切にしよう。

これからは自分の人生を生きよう。

今までのこと忘れないようにしよう。

    

いきなりちゃんと生きるのはダメ人間にはハードルが少々高いから、

右胸の検査の傷跡はすぐに消えてしまうけれど、

今のこの気持はここに記録して、振り返るようにしよう。

 

そう思ってる。

 

【読書記録】「私の消滅」/中村文則/文藝春秋

む・・難しい・・

とか思いながらも読んでしまう中村文則作品。

気合入れて読まないと誰が主人公なのかも分からなくなってしまう。

今回の作品は『去年の冬、きみと別れ』にテイスト似てるかなぁと思った。

中村文則はきっと「徹底的に、圧倒的に、開いてない人」を書くのがすきなのだと思う。

閉じてる人の内面をこねくり回して、読者をそこに閉じ込めてしまうのが中村文則なんだと思う。

 

絶対的に陰。

まったき闇。

そこを覗きたくなる自分。

 

 

私の消滅

私の消滅

 

 

次もきっと、む・・・むずい・・と思いながら読んでしまう事でしょう。