素描

あわのような思いを記録していくところ

さよならガール

いきなり二度寝してて「うそだろおい」となった朝だった。
当たり前だけどひとりだ。
寝坊してもひとり。
 
 
ついこの間まで、わたしはごりっごりのジャニヲタだった。
会社の人には「コンサートのチケット手に入ったら行くよ~」程度のファンを装っていたけれど(それでも一般の人から見たら立派なファンだろう)
本当はコンサートに番協にエキにツアーとなれば遠征上等チケ死守当たり前なハードヲタクだった。
自立できなかった。貯金できなかった。っていうのは言い訳にはならないけれど。
でもヲタ活するために働いてるようなものだった。
そうなっちゃダメだ自分の生活を一番に考えなきゃダメだ俺達が生活の全てになっちゃダメなんだよ、と私の好きだったタレントは言っていたけれど、そうやってバランス保って応援できる人は根本的にしっかり地に足をつけて生きているし、視野も広い。
 
黄金期は、中学生のときだった。
きらきらのジャニーズJr.たちの中での飾らない佇まいが衝撃的で、
衝動に突き動かされるようにファンからヲタクになって、
その瞬間からわたしはずっと地に足をつけられないまま、年齢だけ大人になってしまっていた。
 
これからの人生を考えて、まず実家を出ようと決めた瞬間から
自然と長かったジャニヲタ人生にも終焉が見えてきた。
嫌いになったとかではなく、興味がなくなったわけでもなく、
今でも大好きだし、いびつな青春だったかもしれないけれど数々の思い出は宝物に違いない。
でも、星がくっついたり離れたり変化するように、
なんか自然と衝動や執着心のようなものがなくなっていって、
まずはわたしはわたしの人生を頑張ろうと思った。
 
そして人生に余裕ができたら、また応援するのもいいかなって気持ちになった。
思わぬところで活躍を目にして懐かしい気持ちになったり、嬉しくなったり、
あーわたしも頑張らなきゃなって思ったり
そんな距離感でゆるくファンでいたいと思うようになった。
 
だれかを好きになることは、
それが芸能人であろうとアイドルであろうと身近な人であろうと素敵なことには違いない。
でも地に足をつけて、視野を広げて、ステージの上の人よりも周囲の人をまず大切にしなければ、
触れ合える距離で生身の人と言葉をかわしたり感情をぶつけたり心を開いていかなければ、
自分を生きていることにはならない。
自分の人生を自分が大切にしないで、いったい誰が大切にしてくれる。
テレビの中の人の耳障りの良い言葉だけを拾い集めたところで、それがどれほど自分を強くするのか。
   
グッズや録画データや切り抜きやもろもろは、
最近ファンになった人やジャニヲタ仲間たちが少しずつ、でも大勢のひとが引き取ってくれた。
全部手放した時なんとも言えない心の痛みを感じたけれど、
胸の中で途方に暮れていた、中学生の頃の自分がやっと救われたような気がした。
 
さようなら。
ありがとう。