【読書記録】「ボラード病」/吉村萬壱/文藝春秋
初・吉村萬壱。
ボラード= 繋留したり 、 進入を阻止したりする目的で設置される杭。
物語がどう展開するのか全然読めなくて、
でもただ悲しい気配だけは感じていて、なんというか灰色の海を見ているような小説でした。
そして最後の一行に戦慄。すげえ作品だこれ。
これが全くの創作と思えないところがまた恐怖。
もしかして日本のどこかに?
日本の行く末に?
こんな感じの景色があるのかもしれない。
学校や会社や家庭や地域やいつも通る道、見慣れた町の中にも。
憂鬱で灰色で、張り付いた笑顔の下のどす黒い秘密。
愛と絆という綺麗な言葉でコーティングされた不穏な空気。
ありのままを見えなくする美しく輝かしい言葉たち。
とても怖い、でも一気読みしてしまう小説でした。
本当のことはどこに?
真実は誰の目に写ってた?
えぐられた・・・